[9月の創発2010レビュー]
2010加須・康良居オープンアトリエを終えて
「30年間、ここの前を通るたびにずっと気になっていたのよぉ。」と、楽しそうに話すおばあちゃん。
この場所がアーティストのアトリエとして使われるようになって、それくらいの時間が経っているのです。
埼玉県加須市にある康良居アトリエ(やすらいアトリエ)は、元々は米蔵として使われていた建物で、いくつかの部屋に分かれていて、それぞれをひとりで、または数人共同で借りています。現在は15人のアーティストが各々のスタイルで制作を続けています。
私がここ康良居にはじめて訪れたのは、確かまだ学生だった10年以上も前、1号室の鞴祭りのことでした。当時は、古く雰囲気のある木の梁や、蔵ならではの鉄の扉、年季の入った道具、空気の色までが、別の世界に来たように感じました。今でも感じる、独特の時の流れは、そのころと変わっていません。
まさか、その後ここで制作するようになるとは考えてもいなかったと思いますが、私の中での仕事場(アトリエ)のイメージは、「康良居アトリエ」そのものです。日常と違った空気の中に入ることで、何か雑多ものからちょっとでも解き放たれるように思います。
2010年9月、康良居アトリエでは初めての試みとして、地域の方にも気軽に観ていただけるよう、オープンアトリエを行いました。どんなところで、どんな人がどんな思いで・・・という、作品だけではない部分も一緒に感じていただきたいと思いました。
内容は、メンバー全員の作品展示、アトリエの公開、作家によるトークとパーティーという、とてもシンプルなものです。週末のみで、約1ヵ月の期間公開しました。どんな反応があるのか、不安も抱えつつでしたが、メンバーの協力で一通りのことを実施することができました。
公開はじめのころ、お客様はぽつりぽつりいらっしゃる程度でした。しかも、恐る恐る覗き込むように訪れたところを、こちらからお声をかけるという感じでした。ご近所の方が多く、みなさん特に美術に詳しいとか、今まで特に興味があったわけではないようでした。そんな方々と、作品のことや技法のこと、素材のこと、美術で食べていけるの?などいろいろお話をさせていただきました。そして、ほとんどの方がかなり長い時間を過ごして行かれたことには驚きました。冒頭のおばあさんは、長年の謎が解けてよかったわ~とニコニコしてお話していらっしゃいました。私も、自分が康良居に入る前の様子を聞くことができ、貴重な体験でした。専門の知識がない分、先入観のない、鋭い意見もあったり、毎日が勉強になりました。初めて会う人同士が、作品があることで、こんなに話したり笑ったり出来るということも、ギャラリーとは一味違う発見でした。作品+場所+人+人という繋がりが、堅苦しくなく、まっすぐに交わることができたと思います。
公開の中盤でトークイベントがありましたが、この日は客層ががらりと変わり、美術関係者が多くお越しになりました。いつもの雰囲気で、妙にほっとしたのを覚えています。
後半になり、創発Mapをきっかけに、新聞で紹介されたこともあり、覚えきれない位の来場者がありました。遠方からもお越しいただき、関心の高さにも驚きました。メディアの力は、やはりすごいです。宣伝の仕方等は反省点でもあるので、今後の課題であると改めて感じました。
はじめてのオープンアトリエは、手さぐりで実験的な要素もありました。一度動いてみたことで、今後どうやって社会と繋がっていくのか考える良い機会となりました。
現在、2011年はどう動いて行こうか・・・とメンバーとも話し合っています。これからもいろいろな繋がりを築いていける予感があることが、オープンアトリエを実施した成果でもあると思います。
2010加須・康良居オープンアトリエを終えて
江原愛(貳號室メンバー)
「30年間、ここの前を通るたびにずっと気になっていたのよぉ。」と、楽しそうに話すおばあちゃん。
この場所がアーティストのアトリエとして使われるようになって、それくらいの時間が経っているのです。
埼玉県加須市にある康良居アトリエ(やすらいアトリエ)は、元々は米蔵として使われていた建物で、いくつかの部屋に分かれていて、それぞれをひとりで、または数人共同で借りています。現在は15人のアーティストが各々のスタイルで制作を続けています。
私がここ康良居にはじめて訪れたのは、確かまだ学生だった10年以上も前、1号室の鞴祭りのことでした。当時は、古く雰囲気のある木の梁や、蔵ならではの鉄の扉、年季の入った道具、空気の色までが、別の世界に来たように感じました。今でも感じる、独特の時の流れは、そのころと変わっていません。
まさか、その後ここで制作するようになるとは考えてもいなかったと思いますが、私の中での仕事場(アトリエ)のイメージは、「康良居アトリエ」そのものです。日常と違った空気の中に入ることで、何か雑多ものからちょっとでも解き放たれるように思います。
2010年9月、康良居アトリエでは初めての試みとして、地域の方にも気軽に観ていただけるよう、オープンアトリエを行いました。どんなところで、どんな人がどんな思いで・・・という、作品だけではない部分も一緒に感じていただきたいと思いました。
内容は、メンバー全員の作品展示、アトリエの公開、作家によるトークとパーティーという、とてもシンプルなものです。週末のみで、約1ヵ月の期間公開しました。どんな反応があるのか、不安も抱えつつでしたが、メンバーの協力で一通りのことを実施することができました。
公開はじめのころ、お客様はぽつりぽつりいらっしゃる程度でした。しかも、恐る恐る覗き込むように訪れたところを、こちらからお声をかけるという感じでした。ご近所の方が多く、みなさん特に美術に詳しいとか、今まで特に興味があったわけではないようでした。そんな方々と、作品のことや技法のこと、素材のこと、美術で食べていけるの?などいろいろお話をさせていただきました。そして、ほとんどの方がかなり長い時間を過ごして行かれたことには驚きました。冒頭のおばあさんは、長年の謎が解けてよかったわ~とニコニコしてお話していらっしゃいました。私も、自分が康良居に入る前の様子を聞くことができ、貴重な体験でした。専門の知識がない分、先入観のない、鋭い意見もあったり、毎日が勉強になりました。初めて会う人同士が、作品があることで、こんなに話したり笑ったり出来るということも、ギャラリーとは一味違う発見でした。作品+場所+人+人という繋がりが、堅苦しくなく、まっすぐに交わることができたと思います。
公開の中盤でトークイベントがありましたが、この日は客層ががらりと変わり、美術関係者が多くお越しになりました。いつもの雰囲気で、妙にほっとしたのを覚えています。
後半になり、創発Mapをきっかけに、新聞で紹介されたこともあり、覚えきれない位の来場者がありました。遠方からもお越しいただき、関心の高さにも驚きました。メディアの力は、やはりすごいです。宣伝の仕方等は反省点でもあるので、今後の課題であると改めて感じました。
はじめてのオープンアトリエは、手さぐりで実験的な要素もありました。一度動いてみたことで、今後どうやって社会と繋がっていくのか考える良い機会となりました。
現在、2011年はどう動いて行こうか・・・とメンバーとも話し合っています。これからもいろいろな繋がりを築いていける予感があることが、オープンアトリエを実施した成果でもあると思います。
[2011/1/24]