[9月の創発2010レビュー]
平井一嘉展
芸術の秋ですね~。東京近辺では個展、グループ展が目白押しですが、今回は埼玉県さいたま市にあるGa11ery健で開催された平井一嘉さんの個展のレポートです。
平井さんは1958年埼玉県生まれ。82年第2回高村光太郎大賞展、美ヶ原高原美術館賞受賞(85年も)、83年多摩美術大学大学院彫刻専攻修了、神戸具象彫刻大賞展最優秀賞受賞(85年も)、87年イタリア政府給費留学生として渡伊、88年ナントピエトラ国際彫刻シンポジウム一等賞受賞、89年ファナンノ国際彫刻シンポジウム一等賞受賞、92年第三回現代彫刻美術館野外彫刻ビエンナーレシンポジウム、96年美祢国際大理石シンポジウム、2000年十日町石彫シンポジウム、02年米子彫刻シンポジウムに参加。現在は東北芸術工科大学の非常勤講師をしながら精力的に活動されています。
平井さんは最近、豆と子供をテーマに制作をしています。豆は次に生命が生まれてくる物、芽を出して成長し、また多くの豆になって命が繋がっていく。子供も親から命を引き継いで生きている。この先も生き物すべてがこの良い環境でいられるようにという想いで石を彫っているとのことですが、今回は豆シリーズは少なめで、胸像を多く展示していました。
去年の暮れに先輩から母親の肖像を作って欲しいと頼まれたのをきっかけに、胸像をみてもらういい機会だなぁと思い、昔制作した作品も展示。もう一回個展に出してみて自分の作品を再確認したいという気持ちもあったそうです。
トラバーチンの作品は、イタリアヘ留学していた頃に制作した作品で、今回の個展のために磨き直しをしていました。普段はデッサンしてから直彫りで制作していくということですが、頼まれた胸像など失敗したくない時や表情を大事にする時などは、粘土で作ってから石膏取りをして、星取り機(原型を採寸して同じ物を石に写すことが出来る道具)を使って彫っていくとのこと。イタリアで買った星取り機の使い方など写真を見せてもらいながら教えてもらいました。
豆シリーズの小品は作品のコッパを使った作品で、どれもコッパの形がなんとなく分かるような作品が多かったです。
「最初は同じ石だったのに作品として残った石だけ陽の目を浴びて、残りのコッパは捨てられちゃうんじゃかわいそう。コッパの石を大事にして最大限活かし、その中で自分の面白みなんかを出せたらいいなあ~といった感じ。コッパを主役にした作品です」と。
平井さんメチャクチャ優しいです!石屋の私たちも見習わなければいけませんね!!
そんな平井さんの温かい空間に包まれた素敵な個展でした。
平井一嘉展
亀川洋(本小松石採掘元 有限会社亀川石材店)
芸術の秋ですね~。東京近辺では個展、グループ展が目白押しですが、今回は埼玉県さいたま市にあるGa11ery健で開催された平井一嘉さんの個展のレポートです。
平井さんは1958年埼玉県生まれ。82年第2回高村光太郎大賞展、美ヶ原高原美術館賞受賞(85年も)、83年多摩美術大学大学院彫刻専攻修了、神戸具象彫刻大賞展最優秀賞受賞(85年も)、87年イタリア政府給費留学生として渡伊、88年ナントピエトラ国際彫刻シンポジウム一等賞受賞、89年ファナンノ国際彫刻シンポジウム一等賞受賞、92年第三回現代彫刻美術館野外彫刻ビエンナーレシンポジウム、96年美祢国際大理石シンポジウム、2000年十日町石彫シンポジウム、02年米子彫刻シンポジウムに参加。現在は東北芸術工科大学の非常勤講師をしながら精力的に活動されています。
平井さんは最近、豆と子供をテーマに制作をしています。豆は次に生命が生まれてくる物、芽を出して成長し、また多くの豆になって命が繋がっていく。子供も親から命を引き継いで生きている。この先も生き物すべてがこの良い環境でいられるようにという想いで石を彫っているとのことですが、今回は豆シリーズは少なめで、胸像を多く展示していました。
去年の暮れに先輩から母親の肖像を作って欲しいと頼まれたのをきっかけに、胸像をみてもらういい機会だなぁと思い、昔制作した作品も展示。もう一回個展に出してみて自分の作品を再確認したいという気持ちもあったそうです。
トラバーチンの作品は、イタリアヘ留学していた頃に制作した作品で、今回の個展のために磨き直しをしていました。普段はデッサンしてから直彫りで制作していくということですが、頼まれた胸像など失敗したくない時や表情を大事にする時などは、粘土で作ってから石膏取りをして、星取り機(原型を採寸して同じ物を石に写すことが出来る道具)を使って彫っていくとのこと。イタリアで買った星取り機の使い方など写真を見せてもらいながら教えてもらいました。
豆シリーズの小品は作品のコッパを使った作品で、どれもコッパの形がなんとなく分かるような作品が多かったです。
「最初は同じ石だったのに作品として残った石だけ陽の目を浴びて、残りのコッパは捨てられちゃうんじゃかわいそう。コッパの石を大事にして最大限活かし、その中で自分の面白みなんかを出せたらいいなあ~といった感じ。コッパを主役にした作品です」と。
平井さんメチャクチャ優しいです!石屋の私たちも見習わなければいけませんね!!
そんな平井さんの温かい空間に包まれた素敵な個展でした。
(「NO SCULPTURE NO LIFE」亀川洋の石日記Vol.40、『日本石材工業新聞』2010年11月5日より転載)